昨日に続き、娘の高校卒業国家試験(Esame di Maturità)2日目です。
イタリアでは1日目のイタリア語試験は全国共通ですが、2日目は高校の専攻によって試験内容が変わります。
娘が通うのは政治・経済・法律を学ぶ高校。
今日の試験時間も6時間です。
昨日も6時間のイタリア語試験だったので、
「昨日今日で10時間以上書きっぱなし。手が腱鞘炎になりそうなくらい痛い……」
と帰宅した娘は、さすがにぐったりしていました。
今日のテーマは「女性と社会発展」
今年のテーマは、
「女性と発展 ― ジェンダー平等は持続可能な社会の鍵」
というものでした。
国連の2030アジェンダ(目標5:ジェンダー平等)をもとに、
- 女性の教育
- 女性の社会進出
- 貧困削減
- 経済発展
- 社会の持続可能性
について論じる内容です。
資料は世界的な経済学者の文章
試験では単純に自分の意見を書くわけではありません。
今年は、
- Jeffrey Sachs(ジェフリー・サックス)
- Amartya Sen(アマルティア・セン)
という世界的な経済学者の文章が資料として出題されました。
Sachsは、
「女性の教育や労働参加は貧困削減に不可欠」
と述べ、
Senは、
「女性が社会参加できない社会は、本当の意味で発展した社会とは言えない」
と論じています。
受験生はこれらの資料を読みながら、今まで学んだことを交えて女性が経済や社会発展に果たす役割について論述します。学んだことから離れすぎるとテーマとかけ離れていると減点になるので、授業の内容はしっかりと把握しておく必要があります。
選択問題もなかなか難しい
論文を書いた後は、次のようなテーマから問題を選びます。
- 経済格差を減らすための政策
- イタリア憲法における平等
- GDPやHDIなど国の豊かさを測る指標
- 国家の経済的な役割と国民の福祉・厚生への影響
などです。
日本でいう「政治経済」や「公民」をまとめて論述するような内容でしょうか。
専攻によって試験内容は全く違う
今回の試験を見ていて改めて感じたのは、イタリアの国家試験は専攻によって内容が大きく異なることです。
娘の高校は政治・経済・法律コースなので、社会問題や経済、憲法について論述する問題でした。
一方で、数学系の高校では微分積分や確率などの数学問題が出題されます。
建築系では建築設計や空間デザイン、美術系では作品分析や制作、語学系では外国語の読解や表現力が問われます。
全国共通の国家試験でありながら、
「この5年間で何を専門的に学んできたか」
を評価する試験でもあるのです。
イタリアの試験は「活用する力」を見る
娘は昨夜遅くまで、
- 年金制度
- 政治制度
- 国民の権利と義務
- 経済発展の歴史
- 憲法
などを夫と復習していました。
イタリアの試験は選択問題が少なく、資料を読み取り、それをもとに論理的に説明する力が求められます。
単に暗記した知識を答えるだけではなく、高校で学んだ内容を関連付けながら説明できるかどうかが評価されるのです。
親として見ていても、
「高校生にここまで求めるのか」
と驚くことがよくあります。
あとは口頭試験へ
これで筆記試験は終了しました。
しかし、本番はまだ続きます。
次は口頭試験です。
1人約1時間かけて、各教科について質問を受けながら、自分で準備したプレゼンテーションも発表します。
イタリア語、英語、法律、経済、人類学、歴史など、高校で学んだ内容を関連付けて説明しなければなりません。
さらに、
「高校で学んだことを将来どのように活かしていくのか」
についても発表します。
娘はこれまで学んだ英語、フランス語、歴史、法律、経済などの知識を、将来進みたい音楽の道へどう活かしていくのかをテーマに準備していました。
5年間の勉強の集大成とも言える試験です。
まずは2日間、合計12時間の筆記試験を終えたことに拍手を送りたいと思います。
今夜は少しゆっくり休んで、また口頭試験へ向けて頑張ってほしいものです。