6月24日は、フィレンツェの守護聖人である聖ヨハネ(San Giovanni)の祝日です。
この日はフィレンツェの街全体がお祭りムードに包まれます。
昼にはフィレンツェ伝統競技「カルチョ・ストーリコ(Calcio Storico)」の決勝戦が行われ、夜にはミケランジェロ広場から盛大な花火が打ち上げられます。
フィレンツェ伝統のカルチョ・ストーリコ
カルチョ・ストーリコは16世紀に始まったフィレンツェの伝統競技で、サッカーやラグビーのルーツとも言われています。
ボールを相手陣地へ運ぶ競技ですが、パンチや投げ技なども認められている非常に激しいスポーツで、怪我人が出るほど迫力があります。
フィレンツェ旧市街は、
- 白(サントスピリト広、オルトラルノ地区)
- 青(サンタクローチェ)
- 赤(サンタマリアノヴェッラ)
- 緑(サンジョバンニ)
の4地区に分かれており、それぞれの代表チームが戦います。
この時期になると街のあちこちに各地区の旗が飾られ、お祭り気分が一気に高まります。
ちなみに、夫は生まれた時からずっと白で、「昔は強かったけど、今は全然だめだね」と毎年のように話しています。
近所の広場にも白い旗が飾られています。
アルノ川での花火
夜になると、ミケランジェロ広場から花火が打ち上げられます。

サンタ・トリニタ橋やグラツィエ橋、アルノ川沿いには多くの人が集まり、花火を楽しみます。
娘が小さい頃は、家で音が聞こえると
「花火が始まった!」
と急いで近くの橋まで見に行ったことを懐かしく思い出します。
日本の花火大会のような豪華さはありませんが、ルネサンスの街並みを背景に眺める花火には、フィレンツェならではの美しさがあります。
我が家は花火より卒業試験
今年はというと、花火よりも高校卒業国家試験(Esame di Maturità)の口頭試験が目前です。
娘はプレゼンテーションの最終仕上げ。
試験の最初の導入は約5分間で、
- この5年間で成長したこと
- 学んだこと
- 将来へどうつなげるか
- 好きな教科
などを自分の言葉で話します。
「導入部分を作ったから聞いてほしい」
と言われ、まずは私が聞いてみます。
ところが、
「だから何を伝えたいの?」
「話の軸が少しぼやけているかな。」
そんなやり取りをしながら、一緒に内容を整理しました。
声に出して話すことが一番の勉強
プレゼンが完成すると、今度は何度も声に出して練習します。
イタリアの口頭試験は、ただ暗記したことを話すだけではありません。
高校で学んださまざまな教科を、一つのテーマで結び付けながら説明する力が求められます。
例えばテーマが**「平和」**なら、
- 歴史では戦争が起こった背景や影響
- 法律ではイタリア憲法が保障する平和や人権
- イタリア語では戦争を題材にした文学作品や作家
- 経済では戦争が経済や社会に与えた影響
- 英語では、そのテーマに関係する作品や作品の歴史的背景
これをつなげて平和についてを語るというように、一つのテーマを軸に、それぞれの教科をつなげながら説明していきます。
娘も、
「この教科とこの教科はつながるかな?」
「このテーマなら、この作品も使えるかもしれない。」
と、5年間で学んできた内容を紙に書き出し、関連付けながら準備していました。
知識を一つひとつ覚えるだけではなく、それぞれを結び付けて一つのストーリーとして説明するところに、イタリアの口頭試験らしさがあるように感じます。
(娘が通う経済・法律コースではこのような形式ですが、理系や語学系、美術系などは違う試験内容になります)
そして、夫が試験官役になり、
「こんな質問が来たら?」
「この答えでは弱いかな。」
と何時間もディスカッション。
一人で勉強するよりも、誰かに聞いてもらいながら進める方が、考えが整理され、準備もどんどん進みます。
日本語で説明すると理解が深まる
この5年間を振り返ると、試験勉強でなかなか覚えられない時には内容を聞いて欲しいと娘がイタリア語で準備した内容を、日本語で私に説明してくれていたのを懐かしく思い出します。
「日本語で説明すると、内容を理解していないと話せないから、1度説明するだけで記憶に残る。」
と言っていました。
確かに、覚えたことを他の言語で説明し直すことは、自分の理解度を確認する良い方法なのかもしれません。
日本語の勉強にもなりますし、多言語を学ぶ人にはおすすめの勉強法だと思います。
花火が上がるフィレンツェの祝日。
街ではお祭りを楽しむ人たちで賑わう一方、我が家では高校卒業試験の口頭試験へ向けて最後の追い込みが続いていました。
娘にとっては、高校生活最後の大きな試練。
フィレンツェの花火の音を聞きながらプレゼンテーションの練習をしたこの日も、きっと何年か後には家族の良い思い出として振り返ることになるのだろうと思います。