毎月第一日曜日は、イタリアの多くの国立美術館や博物館が無料公開されます。
フィレンツェで暮らしていると、この日はお気に入りの美術館を何度も訪れる楽しみがあります。
娘が小さかった頃は、この日を利用して、親子でさまざまな美術館を巡っていました。
その頃はフラッと美術館へ行って飽きたら帰るという感じでした。
高校生になると、国立美術館は18歳未満なら無料で入場できるため、美術館好きなお友達と気軽に訪れることが多くなっていました。
そして現在、18歳は国立美術館はEU在住の18歳から25歳まで2ユーロで入場できます。
ところが、ヴェッキオ宮殿はフィレンツェ市立の施設なので18歳から25歳までは12ユーロ。
「ヴェッキオ宮殿に行きたいけれど、お友達と気軽に何度も行くには少し高いんだよね。」
そんな話をしていました。
ここ数年で美術館の入場料はずいぶん値上がりしました。
文化財の維持や修復を考えれば決して高いとは思いませんが、フィレンツェに暮らしているといつでも行けるという身近な場所だからこそ、第一日曜日の無料公開はとても嬉しい制度です。
高校卒業後、久しぶりのヴェッキオ宮殿へ
高校を卒業し、国家試験も終わってようやく一息ついた娘。
「久しぶりにヴェッキオ宮殿へ行きたい。」
ということで、8月最初の日曜日に夫と二人で出かけて行きました。
私は以前、日本企業がヴェッキオ宮殿修復のスポンサーになった際、通訳として何度も訪れる機会がありましたし、小さな娘を連れて何度も通った思い出があります。
約10年ぶりの再会 長年フィレンツェに住んでいると、日本から仕事や旅行で訪れる方と再会する機会があります。 今回お会いしたのは、約10年前にヴェッキオ宮殿の修復やローマ遺跡発掘プロジェクトでお世話になった方々。 当時は、フィレ[…]
今回私は忙しかったこともあり、夫が一緒に行きました。
一度では見きれないヴェッキオ宮殿
ヴェッキオ宮殿は、一度訪れただけでは見きれないほど見どころがあります。
壮大な五百人大広間だけでも圧倒されますが、それだけでは終わりません。
500人広間の隣に秘密の部屋があり、隠し扉があります。
その先には、かつてメディチ家の人々が利用していた秘密の通路や金庫があります。

現在、その一部はガイドツアーで見学できるようになっています。
歴史をより深く知りたい方には、このガイドツアーもおすすめです。
▶秘密のルーとツアーは、フィレンツェ市のオフィシャルサイトから予約出来ます→Musei Civici Fiorentini
子どもと一緒なら「メディチ家の亀」を探してみる
娘が小さかった頃は、美術館というより宝探しをするような感覚で楽しんでいました。
床や壁画、天井画に描かれているメディチ家のシンボルを探して歩いたのです。
特に印象的なのが、帆と亀の紋章。
これはラテン語の
Festina Lente(ゆっくり急げ)
というメディチ家のモットーを表しています。
風を受けて力強く進む帆と、慎重に歩く亀。
「急ぎすぎず、しかし立ち止まらず進む。」
そんな意味が込められていると言われています。
小さなお子さんと一緒なら、このシンボルを探しながら歩くだけでも、ヴェッキオ宮殿がぐっと身近に感じられると思います。
壁画や天井画にも一つひとつ意味がある
ヴェッキオ宮殿は、美術館というより一冊の歴史書のような建物です。
壁画や天井画、彫刻には一つひとつ意味があり、メディチ家がフィレンツェに残した歴史や思想を知ることができます。

壮大な五百人大広間(Salone dei Cinquecento)。
ここには、レオナルド・ダ・ヴィンチが制作を依頼された幻の壁画「アンギアーリの戦い」が現在も壁の奥に眠っているのではないかという説があります。

コジモ一世の妻、エレオノーラ・ディ・トレドが暮らした居室や、ブロンズィーノによる美しい礼拝堂。
そして世界各地を描いた**地図の間(Sala delle Carte Geografiche)**では、日本を探してみるのも楽しい時間です。(現在の日本のような形はしていません!)

建築、美術、歴史が好きな方なら、何時間いても飽きない場所だと思います。

映画『インフェルノ』の舞台としても有名
映画好きの方なら、ダン・ブラウン原作、トム・ハンクス主演の**『インフェルノ(Inferno)』**を思い出す方もいるかもしれません。
ヴェッキオ宮殿は映画の重要な舞台の一つとなっており、作中で登場するダンテのデスマスクも見ることができます。
実際に映画のシーンを思い浮かべながら館内を歩くと、また違った楽しみ方ができます。
美術や歴史だけでなく、映画のロケ地巡りが好きな方にもおすすめのスポットです。

無料の日に訪れるなら朝がおすすめ
第一日曜日は無料になるため、多くの美術館では長い行列ができます。
それでも、ヴェッキオ宮殿やピッティ宮殿は朝早い時間帯なら比較的入りやすいことが多く、私たちもいつも朝一番をおすすめしています。
ゆっくり見学したい方は、ぜひ早めの時間帯に訪れてみてください。
フィレンツェで暮らすように、美術館を楽しむ
観光で訪れると、
「今日はウフィツィ、その後アカデミア美術館、最後にヴェッキオ宮殿。」
というように、一日でできるだけ多くの名所を巡りたくなるかもしれません。
でも、フィレンツェで暮らしていると、美術館との付き合い方は少し変わります。
子どもが小さい頃はメディチ家のシンボル探し。
少し大きくなったら壁画や天井画の意味を知る。
天気の良い日には塔へ上って景色を楽しみ、別の日にはかつての牢獄を見学する。
そんなふうに、一つひとつの空間を何度も味わえるのが、この街で暮らすように過ごす贅沢なのだと思います。
「一度見て終わり」ではなく、「何度も訪れて少しずつ好きになる」。
それも、フィレンツェに住んでいるからではの楽しみ方です。
フィレンツェに長く滞在するなら
ヴェッキオ宮殿やウフィツィ美術館、シニョリーア広場は、私たちのアパートから徒歩ですぐの場所にあります。
📍 立地とアクセス 当アパートは、かつてのピッティ宮殿の持ち主の末裔一家、フレスコバルディ家、グイチャルディーニ家などの貴族が住む高級住宅街にあり閑静な住宅街であり、治安の良い地域です。 そして、サロンからはかつての王宮ピッ[…]
朝早く美術館を訪れ、お昼は近くのカフェでひと休み。
午後はアルノ川沿いを散歩し、夕方にはお気に入りのレストランでゆっくり食事を楽しむ。
そんな毎日を過ごせるのも、長期滞在ならではの魅力です。
「観光する」のではなく、「暮らすように滞在する」。
フィレンツェの本当の魅力を感じたい方は、ぜひそんな滞在を体験してみてください。

