フィレンツェは芸術の街として知られています。
街を歩けばルネサンスの建築や世界的に有名な美術館があり、まるで屋根のない美術館の中を歩いているようです。
でも、フィレンツェの魅力は美術だけではありません。
実はオペラが生まれたのもフィレンツェ。
さらに、現在のピアノの原型となるフォルテピアノが生まれたのもフィレンツェで、市内にはフォルテピアノ専門の博物館もあります。
そんな歴史を持つ街だからか、街を歩いていると、どこからともなくピアノや歌声が聞こえてきたり、週末には教会で小さなコンサートが開かれていたりします。
観光客向けのコンサートだけでなく、音楽院の学生たちによる演奏会や地元の音楽家たちが出演するコンサートも多く、音楽好きな人にはたまらない街だと思います。
先日、お世話になった先生が主催するコンサートへ行ってきました。

会場は旧市街からバスで行った街にある小さな教会。
プログラムは声楽、吹奏楽、弦楽四重奏など様々です。
教会ならではの美しい響き
教会によって音の響き方は異なりますが、この日の会場は本当に素晴らしい音響でした。
音が高い天井へ吸い込まれるように広がり、柔らかく反響して戻ってきます。
コンサートホールとは違う、教会ならではの響きです。
音楽そのものだけでなく、その空間に身を置くことが心地良く感じられました。
楽しそうに演奏する学生たち
演奏していたのは若い学生たち。
流石イタリア人と思える音楽的な歌い方と何よりも楽しそうに演奏している姿が印象的でした。
演奏する人が楽しそうだと、不思議と聴いている側まで楽しくなります。
そして演奏が終わると、会場中から「ブラーヴィ!」という声が飛び交い、大きな拍手が響きます。
感動したら素直に声に出して称賛するのも、いかにもイタリアらしいところです。
ブラヴォーは、本当に感動した時だけなので、ない時もあります。
ヨーロッパを旅していた頃を思い出す時間
母がよくフィレンツェへ遊びに来てくれていた頃、一緒にヨーロッパ各地を旅しました。
ウィーンやフランスでも、このような小さな教会やサロンで開かれるコンサートへ出かけたことがあります。
同じヨーロッパでも、国によって音楽の雰囲気や観客の反応が違い、その土地らしさが表れるのが面白いところです。
旅先で出会う小さな贅沢
もちろん、ミラノの Teatro alla Scala や、フィレンツェの新しいオペラ劇場で聴く大規模な公演も素晴らしいものです。
でも、私はこうした小さな教会でのコンサートも大好きです。
数十人しか入らない空間で、美しい響きに包まれながら音楽を聴く時間。
それは観光ガイドにはあまり載っていない、フィレンツェの日常に触れる体験でもあります。
フィレンツェに数日以上滞在する機会があれば、美術館巡りだけでなく、ぜひ教会で開かれる小さなコンサートにも足を運んでみてください。
フィレンツェには有名な観光名所が数え切れないほどあります。
でも、こうした地元の人たちが集まる小さなコンサートに足を運ぶと、この街の日常の豊かさに触れられる気がします。