イタリアで暮らしていて嬉しいことのひとつに、日常の中で芸術や歴史に触れる機会が多いことです。
フィレンツェでは、特別なイベントなどに合わせて、夕方から美術館や博物館が開館することがあります。
普段は日中に訪れることの多い美術館も、夕方からなら、街を散歩する延長で気軽に楽しめます。
娘が18歳になり、高校の勉強や大学入試が一段落したこともあって、最近は夕方から家族で出かけることが増えました。
9月末には十五夜の美しい月を一緒に眺めたり、フィレンツェの街をのんびり歩いたりしながら、久しぶりにゆったりとした時間を過ごしました。
丁度その時期、美術館や博物館が夕方から1ユーロでオープンするイベントがあったのでお散歩がてら行ってきました!

1ユーロで楽しめる美術館の夜間開館
2026年9月26日には、欧州文化遺産の日に合わせて、フィレンツェの一部の美術館が夕方から夜にかけて開館し、入場料1ユーロで見学できる特別な企画がありました。
▶26 / 27 SETTEMBRE 2026 GIORNATE EUROPEE DEL PATRIMONIO.

フィレンツェには、ウフィッツィ美術館やパラティーナ美術館など、何度訪れても新しい発見のある美術館がたくさんあります。
娘が小さい頃から、毎月第一日曜日の無料開館日なども利用して、いろいろな美術館を訪れてきました。ウフィッツィ美術館やパラティーナ美術館には何度も足を運んでいますが、バルジェッロ美術館は、娘が子どもの頃に行ったきり、長い間訪れていませんでした。
そこで、今回は久しぶりにバルジェッロ美術館へ行ってみることに。

ところが、皆さん考えることは一緒。
到着してみると、普段はあまり並んでいないバルジェッロの入口には驚くほどの長い列ができていました!
そこで予定を変更し、近くにあるパラッツォ・ダヴァンツァーティ(Palazzo Davanzati)へ向かうことにしました。
こうして、その日の気分や街の様子に合わせて行き先を変えられるのも、ほぼ歩いて観光出来る大きさの街フィレンツェの良さです。
中世からルネサンスへ。フィレンツェの暮らしを伝える邸宅
パラッツォ・ダヴァンツァーティは、14世紀に建てられた貴族の邸宅です。中世からルネサンスへと移り変わる時代の建築や、当時の人々の暮らしを知ることができる貴重な場所です。
娘が小学生の頃、ここで演奏したことがあり、一度訪れたことがあります。ただ、本人は演奏した記憶の方が強く、建物の中のことはあまり覚えていないそうです。
冬の寒い時で暖房もなく弾いた子達が「凍えそう!」だと言っていたのが懐かしい思い出の場所です。
今回は、改めてゆっくり見学してみることにしました。
中世のフィレンツェでは、一族の住居として高い塔を建てることがありました。当時は一族同士の争いも多く、塔には防御や見張りの役割がありました。同時に、塔の高さは一族の富や権力を示す象徴でもあったそうです。
現在も旧市街を歩いていると、当時の塔状の建物の名残を感じることがあります。
パラッツォ・ダヴァンツァーティでは、そうした中世の建築から、商人たちの邸宅へと移り変わっていく時代の様子を、建物そのものを通して感じることができます。

部屋を見て回ると、壁に描かれた装飾や模様も印象的です。
「この壁画、レトロでかわいい柄だね」
そんな話を娘としながら、一部屋ずつ見学しました。

美術史や歴史、絵画が好きな娘は、室内に飾られた絵画にも興味を示していました。

ウフィッツィ美術館のように、何時間もかけて見学する大きな美術館とは違い、こちらは比較的コンパクトです。それでも、部屋の造りや壁の装飾を眺めていると、当時の人々がどのような暮らしをしていたのか、想像が膨らみます。
有名な絵画を鑑賞するだけでなく、建物や家具、装飾を通して歴史を感じられるのも、フィレンツェの美術館や博物館の魅力です。
芸術や歴史が、日常のすぐそばにある暮らし
今回の夜間開館では、バルジェッロ美術館を訪れるつもりが、予定を変更してパラッツォ・ダヴァンツァーティを見学することになりました。
こうした特別な開館日があると、普段はなかなか足を運ばない場所にも出かけてみようという気持ちになります。
イタリアでは、毎月第一日曜日に国立の美術館や博物館が無料になる制度もあります。こうした機会を利用して、地元の人も観光客も芸術や歴史に触れることができます。
歴史ある建物や芸術作品が、単に過去の遺産として保存されているだけでなく、今を生きる人々が実際に訪れ、楽しみ、次の世代へと伝えていく。
フィレンツェで暮らしていると、そうした文化の継承が、日常の中に自然に根づいていることを感じます。
観光名所を巡るだけではなく、夕方から美術館へ出かけたり、歴史ある街並みを歩いたり、気になった建物の中をのぞいてみたり。
そんな何気ない時間も、フィレンツェで暮らす楽しみのひとつです。